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HIV感染症の告知について
HIV感染症と診断されることは、それが自発的な検査の結果であったとしても、感染者にとってとても大きな出来事です。同様に、HIV感染症を告知することは、診断した医療従事者自身にも緊張を強いられる行為です。
告知は感染者がHIV感染症と初めて向き合う瞬間であり、疾患イメージの形成に大きな影響を与えます。告知を行なう医療従事者が動揺したり差別的な態度を取ったりすることはHIV感染症に対する否定的な印象を植え付けることにつながりますが、逆に正しく告知することによって感染者自身の誤解や偏見を取り除き、生涯にわたる治療に取り組む力を与えるとともに、医療に対する信頼を高めることができるチャンスともいえます。
陽性の検査結果を見て医療従事者自身が動揺しないためには、HIV感染症に関する正しい知識を持つことに加え、HIVスクリーニング検査を行う時点で、結果が陽性だった場合、陰性だった場合、両方の対応をイメージしておくことが非常に有用です。
検査結果の説明は、その結果に関わらず、まず検査を受けた本人に行うのが原則です。告知に際してのポイントを以下に列記します。
告知の前に確認しておくこと
- スクリーニング陽性(=確認検査が必要)か、HIV感染が確定しているのか
- プライバシーに配慮した告知環境が用意されているか
- どの専門施設に、いつ、どのように紹介すればよいか
診療拠点病院は厚生労働科学研究費補助金「HIV感染症の医療体制の整備に関する研究」班「拠点病院診療案内(外部サイトにリンクします)」に掲載されています - 告知後の相談体制がどのようになっているか
電話相談窓口の情報は「エイズ予防情報ネット(外部サイトにリンクします)」「HIV検査・相談マップ(外部サイトにリンクします)」「HIVマップ(外部サイトにリンクします)」のウェブサイト内にも掲載されています
告知の際に伝えること
- 現在の状態(「確認のための追加検査が必要」なのか「HIVに感染している」のか)
- HIV感染症には有効な治療法が存在し、合併症がなければ長期生存も期待できる疾患であること
- 早期に一度は専門家の診察を受けることが望ましいこと
- 日常生活では他者に感染させることはないこと
- 電話相談窓口やカウンセリング体制が存在すること
- 治療費用についても様々な支援制度が存在すること
- 衝動的に大きな決断(仕事や学校を辞める、見境のないカミングアウトなど)をしないこと
疾患その他に関して様々な質問があるかもしれません。一般的な内容を超える専門的事項に関しては、曖昧に回答するのではなく、十分な知識を持たないことを伝えた上で、早期に専門家に相談することをお勧めいただいた方がよいと考えます。
告知の現場では落ち着いているように見えても、時間が経ってから疑問や混乱、不安が生じる可能性があります。紹介先となる拠点病院の担当者と連絡をとり、フォローアップ体制について事前に話し合っておくことは有用と思われます(ただしこの場合には個人情報に十分配慮してください)。
HIV感染を告知された方を対象に東京都保健福祉局が作成している小冊子「たんぽぽ」には、初めて告知に関わる医療従事者にとっても非常に参考になる内容が多く含まれていますので、ご一読をお勧めします。
- 感染告知支援資料「たんぽぽ」(PDF:4,051KB)(東京都保健福祉局)
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