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遺伝子型3のHCVに感染したHIV/HCV重複感染患者の治療

1. 研究の背景

C型肝炎の治療は長らくインターフェロン(IFN)とリバビリンの併用療法が中心であったが、HIV感染者における治療効果は40~50%程度と低かった。しかし2014年に遺伝子型1(Genotype 1; GT1)HCVに対してダクラタスビル+アスナプレビルによるIFNを含まない抗HCV療法が承認され、さらに2015年には、遺伝子型1(GT1)HCVに対してソホスブビル/レジパスビル配合錠(ハーボニー)が、遺伝子型2(GT2)HCVに対してソホスブビル+リバビリンがそれぞれ承認された。これら直接作用型抗HCV薬(Direct Acting Agents; DAA)の効果はHIV感染症の有無に関わらず同等とされており、GT1およびGT2 HCVについては保険適用の治療により高い効果が期待できる。

一方、血友病例で時折みられる遺伝子型3(GT3)HCVについては、保険承認されたDAA併用療法の選択肢は2016年時点で日本には存在しない。海外の2つの臨床研究ではソホスブビル+ダクラタスビルによる12週間の治療で、治療歴にかかわらず100%(10/10、14/14)の高い治療成績が報告されている。ソホスブビルとダクラタスビルは各々C型肝炎の治療薬としてすでに国内承認を受けているものの、この2剤の併用療法は国内では承認されていない。救済医療的な側面からも迅速な対応が不可欠と判断し、GT3 HCVに感染した血友病症例を対象に、この2剤の併用療法の臨床研究を行った。

2. 結果概要

 治療を行ったGT3 HCV感染例の全例(3/3)がSVR(HCV排除)を達成した。
また、GT3以外のHCVに感染した症例も含めると、ACCでDAA治療を行った27名全例がSVRを達成した。

薬害例のDAA成績