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「免疫再構築症候群 診療のポイントVer. 5」の発刊にあたって

医療従事者の方へ
更新日:2021年3月8日

 抗HIV治療(ART)の進歩によりHIV患者の予後は劇的に改善し、コントロール可能な慢性疾患と位置づけられるようになっていることは皆様ご承知の通りです。抗HIV治療はその後も進化を続けており、副作用の軽減や抗ウイルス力の強化はもちろん、1日1回1錠による治療、そして1-2か月に1回の注射剤への簡便化も進んできており、現在もHIV治療は着実に進歩しております。

 その状況にあっても未解決の重要な臨床的問題が複数存在し、その一つとして診断の遅れによるエイズ発症での診断例が日本では全報告例の3割近くも存在し、その一部で救命できない患者が存在しています。そして、そのようなエイズ発症者や免疫が高度に低下した患者にARTを導入する際に経験される免疫再構築症候群(IRIS)のマネジメントの難しさが挙げられます。

 一部の日和見疾患においては早期のART導入が予後を悪化させる事がわかっていますが、多くの疾患は適切なART導入時期はもちろん、IRISを発症した際のマネジメントについての知見が十分ではなく、参考にすべきガイドラインも存在しないというのが現状です。
 以上の状況を踏まえ、AMEDエイズ対策実用化研究事業「ART早期化と長期化に伴う日和見感染症への対処に関する研究」班は、研究の一環として「IRISの現状と適切なマネジメント」に関する基礎的および臨床的な研究を行ってきました。臨床における一助となるよう、これまでの研究成果を不定期に冊子として全国のエイズ拠点病院に配布してまいりましたが、本書はその改定版(Ver.5)となります。

 是非ご一読いただき、内容に関しては忌憚のないご意見を賜れればと存じます。
 本書の作成には、過去の研究班として行ってきたアンケート調査などへの全国のエイズ拠点病院の先生方のご協力をいただきました。改めて深謝申し上げます。
 本書が臨床現場におけるIRISの疾患理解や診療方針に少しでもお役に立てれば幸いです。冊子発送をご希望の方はこちらの発送申し込みフォームより発送先施設名、必要部数などご連絡ください。

国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)
「ART早期化と長期化に伴う日和見感染症への対処に関する研究」班
研究代表 照屋勝治


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